用語名称(日本語、外国語)
ナチョス(単数形は「ナチョ」)
英語:Nachos
スペイン語:Nachos
意味
ナチョスとは、トルティーヤチップスに溶かしたチーズをかけ、好みの具材をのせて仕上げる料理のことです。発祥はメキシコ北部ですが、その後アメリカ南部で広まったため、メキシコ料理とアメリカ南部の食文化が混ざり合った「テクス・メクス料理(Tex-Mex/テキサス+メキシコの造語)」の代表格として知られています。
土台になるトルティーヤチップスは、トウモロコシの粉から作る薄焼きパン「トルティーヤ」を三角形に切り、油で揚げたり焼いたりして固くしたものです。その上に細かくしたチェダーチーズやモントレージャックチーズをのせ、オーブンや電子レンジで加熱して食べるのが基本の形になります。
ちょうど日本でいう「おつまみ」や「スナック」に近い立ち位置で、手でつまんで気軽に食べられる点が特徴です。一皿を複数人で囲んで取り分けるスタイルも、ナチョスならではの楽しみ方といえるでしょう。
なお、レストランによっては溶かしたチーズソースを別添えにし、チップスをディップ(つけて食べる)形式で出すこともあります。映画館やスタジアムの売店で売られているものは、このディップ式が多い傾向です。
由来となったエピソード
ナチョスという名前は、考案者の愛称に由来します。1943年、メキシコ北部コアウイラ州のピエドラス・ネグラスという町にあったレストラン「ザ・ヴィクトリー・クラブ」で、給仕長を務めていたイグナシオ・アナヤ(Ignacio Anaya)が即興で作ったのが始まりとされています。
ある日、国境を越えてやってきたアメリカ人客の女性グループが来店した際、ちょうど料理人が不在でした。そこでアナヤが、揚げたトルティーヤに細切りのチーズをのせて軽く加熱し、ハラペーニョ(メキシコの青唐辛子)のスライスを添えて出したところ、これが大好評となります。
スペイン語の男性名「イグナシオ」は、親しみを込めて「ナチョ」という愛称で呼ばれることがよくあります。彼が作ったこの一品は「ナチョス・エスペシアレス(Nacho’s Especiales=ナチョのスペシャル)」と名付けられ、これがやがて「ナチョス」として定着しました。
その後、植物油を加えたチーズソースが開発され、工場製のトルティーヤチップスが普及したことで、手軽に作れるスナックとして広がります。アメリカではスポーツ観戦のお供としても親しまれ、プロ野球チームのテキサス・レンジャーズが球場で初めて売り出したことでも知られています。
用語を使う場面・対象となる食品
メキシコ料理店やテクス・メクス料理を出すバル、カフェのメニュー名として登場します。日本でも、メキシカンレストランやスポーツバーの定番メニューになっています。
おつまみやパーティー料理を指す言葉としても使われます。ビールやカクテルと合わせるスナックとして人気があり、大皿で取り分ける気軽さから、家でのホームパーティーでもよく登場します。
スーパーやコンビニで売られる、土台のトルティーヤチップスそのものを「ナチョス」と呼ぶこともあります。袋入りスナックとして販売され、サルサソースやチーズディップを添えて食べるのが一般的です。
トッピングのバリエーションは豊富で、味付けした牛や鶏のひき肉、豆を煮込んだチリコンカン、サワークリーム、トマトと玉ねぎのソース「サルサ」、アボカドをつぶしたディップ「ワカモレ」などが定番です。地域ごとの工夫も見られ、たとえばアメリカのテネシー州メンフィスでは、ほぐした豚肉「プルドポーク」とバーベキューソースをのせたご当地ナチョスが親しまれています。
お菓子・スナックの文脈では、甘い味のものではなく、塩気のあるしょっぱい系スナックに分類される点も覚えておくとよいでしょう。

