用語名称(日本語、外国語)
ナチュラルチーズ
英語:Natural Cheese
フランス語:Fromage
意味
ナチュラルチーズとは、牛や羊、山羊などの乳(生乳)を乳酸菌や凝乳酵素で固め、ホエイ(乳清)と呼ばれる水分の一部を取り除いたもの、またはそれをさらに熟成させたチーズを指します。原料の乳をそのまま生かし、微生物や酵素の働きで風味を作り出すのが特徴です。
これと対になる言葉が「プロセスチーズ」です。プロセスチーズは、できあがったナチュラルチーズを砕いて乳化剤を加え、加熱して溶かしてから再び成形したものをいいます。加熱の過程で乳酸菌や酵素が死んでしまうため、それ以上は熟成が進みません。一方、ナチュラルチーズの中では乳酸菌や酵素が生き続けています。時間とともに味わいが変化していくため、よく「チーズは生きている」と表現されます。日本ではスライスチーズや6Pチーズなど、加工されたプロセスチーズが古くから親しまれてきましたが、近年は本場の風味を楽しめるナチュラルチーズも広く流通するようになりました。
作り方の基本的な流れは、次のとおりです。まず生乳を加熱殺菌し、乳酸菌(スターター)と凝乳酵素を加えます。すると乳が固まり、プリンのような状態(カード)になります。これを細かく切ってホエイを排出し、型に詰めて成形します。仕上げに塩を加え、種類によっては数週間から数年かけて熟成させて完成です。
ここで使われる凝乳酵素は「レンネット」と呼ばれます。もともとは子牛の第4胃から取れる動物性のものが使われてきました。現在は、遺伝子組み換え技術で作る「発酵生産キモシン(FPC)」や、カビから作る「微生物性レンネット」も広く使われています。世界全体ではFPCが約6割を占めており、技術の進歩によって製造方法も変化してきました。
ナチュラルチーズは、原料の乳の種類や使う微生物、製法の違いによって、世界に1,000種類以上あるといわれます。一般的には、熟成させない「フレッシュタイプ」、表面を白カビで覆う「白カビタイプ」、内部に青カビを繁殖させた「青カビタイプ」、表面を塩水やお酒で洗う「ウォッシュタイプ」、山羊の乳で作る「シェーブルタイプ」、やや硬めの「セミハードタイプ」、長期熟成させた硬い「ハードタイプ」に分類されます。
代表的なものを挙げると、フレッシュタイプにはモッツァレラやクリームチーズ、マスカルポーネ、リコッタがあります。白カビタイプの代表はカマンベールやブリー、青カビタイプにはゴルゴンゾーラやロックフォールがあります。セミハードにはゴーダ、ハードにはチェダーやパルミジャーノ・レッジャーノなどが含まれます。
用語を使う場面・対象となる食品
製菓・製パンの分野では、ナチュラルチーズはおもにフレッシュタイプが活躍します。中でもクリームチーズは、チーズケーキを作るうえで欠かせない材料です。なめらかに練ってから砂糖や卵と混ぜ合わせ、ベイクドチーズケーキやレアチーズケーキ、ニューヨークチーズケーキの土台となります。
マスカルポーネは、ティラミスに使われることでよく知られています。クセが少なく、コクと甘みのあるまろやかな味わいが、コーヒーやココアの風味とよく合います。リコッタはホエイから作られる軽い口当たりのチーズで、タルトやパンケーキ、焼き菓子の生地に混ぜ込まれます。
パン作りでは、ゴーダやチェダーといったセミハード・ハードタイプがよく登場します。生地に練り込んだりトッピングにしたりすると、加熱でとろけて香ばしい風味が生まれます。モッツァレラはピザの定番で、加熱するとよく伸びる点が特徴です。
レシピや商品ラベルでは、「ナチュラルチーズ使用」という表記をよく見かけます。これは加工していないチーズ本来の風味を生かしている、という意味合いで使われます。お菓子作りで「クリームチーズ」と指定があった場合、それはナチュラルチーズの一種だと考えてよいでしょう。なお、お菓子に使う際は、種類ごとに水分量や塩分、溶けやすさが大きく異なります。レシピで指定されたチーズを選ぶことが、仕上がりを左右する大切なポイントになります。

