用語名称(日本語、外国語)
ナッペ
フランス語:napper
意味
ナッペとは、スポンジ生地などのケーキ全体に生クリームやバタークリームをまんべんなく塗り、表面をなめらかに仕上げる作業のことです。日本の製菓現場では、スポンジに塗る一連のクリーム塗布工程をまとめて「ナッペする」と呼びます。
語源はフランス語の動詞「napper(ナペ)」です。もともと名詞「nappe(ナップ)」はテーブルクロスを指す言葉で、そこから派生した動詞 napper は「テーブルクロスをかける」、さらに料理の世界では「ソースやクリームなど、ある程度とろみのあるもので食材を覆う」という意味で使われます。つまり語のもとをたどると、ナッペには「覆う」という核となるイメージがあるわけです。
なお、フランス語の発音は「ナペ」に近く、日本語の「ナッペ」は現場で定着した読み方だと考えておくとよいでしょう。日本のように高脂肪の生クリームをケーキ全体に塗り重ねる仕上げは、フランスではあまり一般的ではありません。そのため「ナッペ」という作業は、いちごのショートケーキ文化が根づいた日本の製菓において、とりわけ重視される技術になっています。
混同しやすい言葉に「ナパージュ(nappage)」があります。これは napper と同じ語源を持ちますが、果物のタルトなどに塗って光沢を出すジャム状・ゼリー状の素材、またはそれを塗る作業を指す言葉です。クリームを塗る「ナッペ」とは対象が異なるので、区別して覚えておくと混乱しません。
用語を使う場面・対象となる食品
ナッペがもっとも登場するのは、デコレーションケーキの土台づくりの場面です。具体的には、スポンジ生地に泡立てた生クリームやバタークリームを塗り広げ、側面と上面を平らに整えていく工程を指します。
対象となるお菓子としては、いちごのショートケーキをはじめとする生クリームのデコレーションケーキ、バタークリームを使ったケーキ、誕生日やクリスマス向けのホールケーキなどが代表例です。クリームをきれいに塗っておくことで、その上に絞りやフルーツでデコレーションを施したときの仕上がりが大きく変わります。
作業には、回転台(ターンテーブル)とパレットナイフを使うのが基本です。ケーキを回転台にのせて回しながら、パレットナイフでクリームの厚みを均一にならしていきます。なめらかな表面に仕上げるには手の角度や力加減の慣れが必要で、日本の製菓専門学校ではナッペの実技が授業や試験に組み込まれていることもあります。それだけ、プロを目指すうえで土台となる技術だと位置づけられているということです。
ちなみに、ケーキの上面をクリームで平らにならす動作には、フランス語で「滑らかにする」を意味する「リセ(lisser)」という別の用語が使われることもあります。現場ではナッペと合わせて耳にすることがあるので、関連語として知っておくと理解が深まります。

