用語名称(日本語、外国語)
海鼠形(なまこがた)、なまこ形
英語:sea cucumber shape、loaf shape(かまぼこ状の半円筒形)、log shape(棒状・丸太状)
意味
海鼠形とは、海の生きものであるナマコに似せた形のことを指します。具体的には、断面が半円に近く、両端がやや細くなった半円筒形(かまぼこ形)の立体を意味します。底が平らで上が丸く盛り上がり、横長に伸びた紡錘形に近いと考えるとイメージしやすいでしょう。
辞書的にも、海鼠形は「海鼠のような形。半円筒形。かまぼこ形」と説明されています(『デジタル大辞泉』『精選版 日本国語大辞典』)。お菓子の世界では、餅・生地・餡などを手やヘラで成形し、この丸みのある棒状にまとめた状態を「海鼠形にする」と表現します。
ナマコ自体はほぼ円筒形の体をもつ棘皮(きょくひ)動物で、英名を sea cucumber(海のキュウリ)といいます。日本では古くから食用とされ、その独特の体型が形状の比喩として定着しました。
用語を使う場面・対象となる食品
海鼠形という言葉は、和菓子・洋菓子・製パンのいずれの分野でも、生地や材料を半円筒状にまとめる工程で使われます。
代表的な対象が、なまこ餅(海鼠餅)です。つきたての餅を平らにのさず、ナマコのような半楕円形に成形したもので、寒の時期に作られる寒餅としての例が知られています。固まったなまこ餅を薄く切れば、かき餅やおへぎになります。なお福岡の筥崎宮(はこざきぐう)では大晦日に「なまこ餅つき」が行われ、元旦に供える習わしが伝わっています。これは正月用の鏡餅をつく時間がなかった漁師たちが、餅の代わりに海のナマコを献上したという由来にちなむものです。
製パンの分野でも「なまこ形」は基本の成形技法として確立しています。辻調理師専門学校が示す手順では、ガスを抜いた生地を三つ折りにして向きを変えながら折りたたみ、合わせめを閉じたあと、軽く転がして両端をやや細めに整えます。こうしてできる丸みのある棒状がなまこ形で、チョコロールパンやフランスパンの下ごしらえなど、幅広いパンの成形に応用されています。
このほか、羊羹(ようかん)やういろうのように細長く流し固める棹物(さおもの)菓子、餡や生地を棒状にまとめる工程など、丸みを帯びた半円筒形に仕上げる場面で広く用いられます。「丸形」や「俵形」と並ぶ、形状を端的に伝える便利な言葉といえるでしょう。

