用語名称(日本語、外国語)
生菓子(なまがし)
英語:fresh confectionery、moist confectionery
意味
生菓子とは、和菓子を「水分の多さ」で大きく三つに分けたときの、もっとも水分量が多いグループを指す言葉です。一般には、できあがった直後の水分量が30パーセント以上のものを生菓子と呼びます。この基準は食品表示の実務でも使われていて、たとえば消費者庁や各都道府県が出している食品表示の手引きでも、「出来上がり直後において水分30パーセント以上を含有するもの」を生菓子として扱う旨が示されています。
残りの二つは、水分量がおよそ10~30パーセントの「半生菓子(はんなまがし)」と、10パーセント以下の「干菓子(ひがし)」です。どら焼きやカステラのように、しっとりしているけれど生菓子ほどみずみずしくないものが半生菓子に、落雁(らくがん)や金平糖のように乾いたものが干菓子に分類されます。
ここで一つ補足しておきたいことがあります。全国和菓子協会も説明しているとおり、この水分量による分け方は科学的には正しい一方で、現場の感覚とは必ずしも一致しません。たとえば同じ羊羹(ようかん)でも、しっかり煉り上げて固めに仕上げたものは半生菓子に入り、柔らかく仕上げたものは生菓子に入ってしまいます。つまり同じ名前のお菓子でも、作り方次第で分類が変わるわけです。そのため水分量はあくまで目安と考えておくとよいでしょう。
なお、洋菓子の世界でも「生菓子」という言葉は使われます。こちらはショートケーキやシュークリーム、プリンなど、生クリームやカスタードを使い水分が多くて日持ちしないお菓子を指すのが一般的です。和菓子の生菓子とは数値的な定義が共通しているわけではなく、「水分が多くて足が早い(傷みやすい)お菓子」という大まかな意味合いで重なっている、と理解しておくと混乱しません。
用語を使う場面・対象となる食品
生菓子という言葉は、和菓子店や製造現場、食品表示、お茶席の場など、さまざまな場面で登場します。代表的な使われ方を整理すると、次のようになります。
材料や製法による細かい呼び名で見ると、生菓子には幅広い種類が含まれます。具体例を挙げると、餅物(もちもの)では大福、草餅、おはぎ、団子など、蒸し物では薯蕷(じょうよ)饅頭や葛饅頭、流し物では柔らかく仕上げた羊羹やくず桜、煉り物では煉切り(ねりきり)やぎゅうひ、といった顔ぶれです。日常のおやつから茶席の主役まで、ここに集まっているのが特徴です。
生菓子のなかでも、覚えておくと役立つのが「朝生菓子(あさなまがし)」と「上生菓子(じょうなまがし)」という区別です。朝生菓子は、その名のとおり朝に作ってその日のうちに食べてもらう生菓子のこと。大福や団子、草餅など、私たちになじみ深いものの多くがこれにあたります。餅などのでんぷん質は時間が経つと老化して硬くなってしまうため、毎朝作ってその日中に味わうのがいちばんおいしい、という考え方から生まれた呼び名です。
一方の上生菓子は、職人の手技を生かして季節の風物を写し取った、見た目にも美しいお菓子を指します。煉切りがその代表で、多くは2~3日はおいしく食べられます。お茶席で出される格式の高い和菓子は、この上生菓子であることが多いです。
食品表示の面でも生菓子という区分は意味を持ちます。水分が多い生菓子は傷みやすいため、賞味期限ではなく消費期限が設定されることが多く、短いものでは当日中、という場合も珍しくありません。お店で和菓子を買うときに「本日中にお召し上がりください」と言われるのは、まさにこの生菓子の性質によるものです。

