用語名称(日本語、外国語)
ナパージュ
フランス語:nappage
意味
ナパージュとは、ケーキやタルトなどの表面に塗る、透明感のあるジュレ状のコーティング材です。フランス語の動詞「napper(ナッペ/覆う・塗る)」に由来し、「塗るもの」を意味します。
主な成分は、糖分、水分、そしてペクチンなどの凝固剤(増粘剤)です。製品によっては、ゼラチンや水飴が使われることもあります。お菓子の表面に薄く塗ることで、つやのある美しい仕上がりになります。
ナパージュの役割は、見た目を良くするだけではありません。具体的には、次のような働きがあります。
つや出しによる装飾効果に加えて、表面を覆うことで乾燥を防ぐ役割があります。さらに、バナナやりんごなど空気に触れて変色しやすいフルーツについては、断面をコーティングすることで劣化や変色を和らげます。完全に防げるわけではありませんが、つやによって変色が目立ちにくくなる効果も期待できます。また、冷えて固まるタイプを使えば、タルトの上に盛ったフルーツの形を固定し、カット時の崩れを防ぐこともできます。
なお、似た用語に「グラサージュ(glaçage)」があります。両者は表面をコーティングする点で共通しますが、塗り方が異なります。ナパージュは刷毛やパレットで薄く塗り広げるのに対し、グラサージュはお菓子の上から流しかけて厚みのある光沢で全体を覆うことが多い、という違いがあります。
用語を使う場面・対象となる食品
ナパージュは、製菓の仕上げ工程で使われます。対象となる食品やタイプは、大きく次の3種類に分けられます。
加熱用の透明ナパージュは、主に生菓子に飾るフルーツに使います。ほぼ無味無臭で、加水して煮溶かしてから刷毛で塗ります。冷えると寒天状にしっかり固まるため、飾ったフルーツを固定する力(保形性)が高いことが特徴です。一方で熱い状態で塗るため、ゼラチンで固めたムースやババロア、レアチーズケーキといった熱に弱い冷菓には向きません。
アプリコット風味のナパージュは、焼き菓子向けです。あんずを主体としたジャムを裏ごししたもので、薄いオレンジ色をしています。焼き込んだタルトやパウンドケーキ、一部のクッキーなどに塗ると、つやが出るとともに乾燥を防げます。糖度が高めで常温保存する焼き菓子と相性が良く、洋梨やりんご、アプリコットなど、あんず風味に合うフルーツを使ったお菓子におすすめです。なお、アプリコットジャムを塗ってつやをつける作業は「アプリコテ(仏:abricoter)」と呼ばれます。
非加熱用の透明ナパージュは、ムースやババロア、レアチーズケーキなどの冷菓に最適です。とろとろのジュレ状で、温めずにそのまま塗れます。熱を加えないので、熱に弱いお菓子のデコレーションに使いやすく、フルーツピュレやジャムを混ぜて色や風味を加えるアレンジもしやすいタイプです。ただし、しっかりとは固まらないため、保形性は加熱タイプより弱めです。この非加熱透明タイプは「ナパージュ・ヌートル(nappage neutre)」や、鏡を意味する「ナパージュ・ミロワール」とも呼ばれ、製菓の現場で広く使われています。
このほか、専門的な分類では、赤すぐり(グロゼイユ)などの赤い果実から作る赤色の「ナパージュ・ルージュ(nappage rouge)」、アプリコットを煮詰めて作るオレンジ色の「ナパージュ・ブロン(nappage blond)」といった種類もあります。家庭でナパージュがないときは、ジャムを水で薄めて加熱・裏ごししたものや、はちみつ・水飴を薄めたもの、寒天やアガーで自作したもので代用することも可能です。

