用語名称(日本語、外国語)
ナツメグ(肉荳蔲/肉豆蔲:にくずく)
英語:Nutmeg
学名:Myristica fragrans(ニクズク科ニクズク属の常緑高木)
意味
ナツメグは、熱帯地域で育つニクズク(Myristica fragrans)という常緑樹の種子からつくられるスパイスです。木は高さ10メートルほどに育ち、洋ナシのような形の果実をつけます。その果実の中にある種子の核(仁)の部分を乾燥させ、すりおろしたり粉末にしたものがナツメグです。
香りは甘く、ほんのりと刺激的で、わずかな苦みをともないます。加熱すると香りが立ちやすく、料理に深みやコクを与えてくれるのが特徴です。
ここで覚えておきたいのが「メース」という別のスパイスとの関係です。じつはナツメグとメースは、同じ果実から採れます。種子を包んでいる網目状の赤い皮(仮種皮)を乾燥させたものがメースで、その内側にある種子の核がナツメグにあたります。出どころが同じなので香りも似ていますが、メースのほうがやや繊細で華やかな香りをもち、ナツメグは濃厚で重みのある甘さが感じられる、という違いがあります。
原産地は、インドネシア東部のモルッカ諸島(マルク諸島)にあるバンダ諸島とされています。かつてはこの一帯でしか採れなかったため、大航海時代のヨーロッパでは金と同じくらい珍重された時期もありました。香辛料を求める動きが、当時の貿易や植民地の歴史を大きく動かす一因になったほどです。現在ではインドネシアのほか、カリブ海のグレナダなどが主な産地として知られています。
用語を使う場面・対象となる食品
ナツメグというと、ハンバーグの定番スパイスというイメージが強いかもしれません。たしかに、ひき肉のクセや臭みをやわらげる働きがあり、ハンバーグやミートローフ、ソーセージといった肉料理で活躍します。けれども、用途はそれだけではありません。
乳製品との相性もよく、ホワイトソース(ベシャメルソース)やグラタン、ポテトサラダ、かぼちゃやほうれん草を使った料理に少量加えると、味に奥行きが生まれます。
そしてお菓子づくりの場面でも、ナツメグは欠かせない存在です。代表的なのが、ドーナツのオールドファッション。生地にシナモンとあわせてナツメグを少し加えると、素朴ながらも香り高い味わいに仕上がります。このほか、クッキーやパウンドケーキ、マフィン、アップルパイ、ジンジャークッキーなどの焼き菓子にもよく用いられます。シナモンやクローブ、オールスパイス、ジンジャーといった甘い系のスパイスと組み合わせると、より複雑で温かみのある風味になります。
飲み物では、ホットミルクやチャイ、エッグノッグ、ミルクティーなどに少量振りかける使い方も親しまれています。
形状は、種子そのままの「ホール」と、すりおろし済みの「パウダー」があります。風味を重視するなら、使う直前に専用おろし器でホールを削るのがおすすめです。粉末は手軽な反面、香りが飛びやすいため、早めに使い切るとよいでしょう。
使う量の目安と注意点
ナツメグは香りが強いスパイスなので、料理やお菓子に使う量はごく少量で十分です。ハンバーグであればひとつまみ程度、お菓子なら小さじ数分の一が目安になります。入れすぎると苦みやえぐみが出てしまうため、控えめに加えるのがコツです。
なお、ナツメグには「ミリスチシン」という精油成分が含まれており、これを一度に大量に摂取すると、めまいや吐き気、動悸、幻覚といった中毒症状を引き起こすことが報告されています。とはいえ、通常の料理やお菓子づくりで使う量であれば、まったく心配はいりません。あくまで「香りづけのために少しだけ使う」という前提を守れば、安心して活用できるスパイスです。

