用語名称(日本語、外国語)
流し物(ながしもの)、流し菓子(ながしがし)
英語:poured and set confections(流し入れて固める菓子)、jellied sweets(ゼリー状の菓子)
フランス語:gelée(ゼリー)、pâte coulante(流し込む生地)、nagashimono
意味
流し物とは、和菓子作りで主に用いられる製法の一つです。
寒天や葛粉、ゼラチンなどの凝固剤を水や汁で溶かして流動状の生地を作り、そこに砂糖や小豆餡などの材料を加えて混ぜ合わせます。
この生地を木製の流し箱やプラスチック製の型に流し入れ、冷やして固めることで完成します。
固まる仕組みは、寒天などの成分が冷えると網目状の構造を作り、水分を閉じ込めてゼリーのような食感を生む点にあります。蒸したり焼いたりする工程がないため、なめらかで透明感のある仕上がりになりやすいのが特徴です。
寄せ物とほぼ同じ意味で使われることもあり、材料を寄せ集めて固めるという点で共通しています。
近年は伝統的な寒天に加え、カラギーナンやペクチンなどの新しい凝固剤も使われるようになりましたが、基本的な考え方は変わっていません。
用語を使う場面・対象となる食品
この用語は、和菓子店や製造現場、和菓子に関する専門書や分類表でよく登場します。
和菓子の製法による分類(焼き物、蒸し物、練り物など)と並んで使われ、生菓子や半生菓子に属する製品で特に多く見られます。
主な対象となる食品は以下の通りです。
- 羊羹(ようかん):本練羊羹や水羊羹が代表的。寒天液にこしあんを加えて流し固めたもの。
- 錦玉羹(きんぎょくかん):寒天と水あめだけで作る透明感のあるゼリー状の菓子。
- くずきり:葛粉を使って流し固め、細かく切ったもの。夏の定番。
- ところてん:天草を煮て固めたものを突き出して作る。流し箱で固める工程を含む。
- その他:みぞれ羹、細工羊羹(複数の流し物を組み合わせた装飾的なもの)、一部のういろうのバリエーションなど。
洋菓子ではゼリーやババロア、ムースに似た作り方がありますが、「流し物」という呼び方は和菓子業界で特に定着した用語です。
製造の際、職人が「この生地は流し物で固めます」と工程を説明する場面や、商品を分類して在庫管理するときに使われます。流し物は、火入れを最小限に抑えられるため、素材の風味を活かしやすい点も魅力の一つです。
夏の暑い時期にぴったりなさっぱりした食感の菓子が多く、冷やして食べる楽しみ方があります。

