※2016年11月3日現在の情報です。
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高額療養費制度とは
公的健康保険に加入している場合、治療費が高額になり、自己負担額が一定額を超えて高額となった場合に「高額療養費制度」が適用され、お金が戻ってくるというもの。
通常の国民保険や社会保険といった公的健康保険の場合、自己負担額は3割。
しかし治療費が1ヶ月の自己負担限度額を超えた場合には後から戻ってくるというもの。
多数該当高額療養費
高額療養費として払い戻しを受けた月数が1年間(直近12ヵ月間)で3月以上ある場合に、4月目以降はさらに負担額が軽減される制度を「多数該当高額療養費(多数該当)」と呼びます。
長期に渡って高額医療費負担が続く場合には、より負担を軽くすることができます。
70歳以上75歳未満の高齢受給者については、通院の限度額の適用によって高額療養費を受けた回数には含まれません。
多数該当は同一保険者(同じ保険)での療養に限定されます。国民健康保険や健康保険組合などから協会けんぽに変わったという場合には、カウントがリセットされます。
多数該当は同一被保険者で適用されます。退職して被保険者から被扶養者に変わった場合などは、多数該当の月数に通算されません。
自己負担額は合算できる
同一保険者内に加入している世帯では複数の人、一人で複数の医療機関で受診、一つの医療期間で入院と外来を受診した場合、自己負担額は世帯で合算ができます。
自己負担限度額は月収(標準報酬月額・標準賞与額)に寄ってことなる
70歳未満の自己負担限度額
【標準報酬月額83万円以上】
252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
多数該当高額療養費:140,100円
【標準報酬月額53万~79万円】
167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
多数該当高額療養費:93,000円
【標準報酬月額28万~50万円】
80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
多数該当高額療養費:44,400円
【標準報酬月額26万円以下】
57,600円
多数該当高額療養費:44,400円
【被保険者が市区町村民税の非課税者等(低所得者)】
35,400円
多数該当高額療養費:24,600円
70歳以上の自己負担限度額
【現役並み所得者】
標準報酬月額28万円以上で高齢受給者証の負担割合が3割ある場合
外来(個人ごと):44,400円
外来・入院(世帯ごと):80,100円+(医療費-267,000円)×1% ※多数該当:44,400円
【一般所得者】
(現役並み所得者および低所得者以外)
外来(個人ごと):12,000円
外来・入院(世帯ごと):44,400円
【低所得者Ⅱ】
被保険者が市区町村民税の非課税者等である場合
外来(個人ごと):8,000円
外来・入院(世帯ごと):24,600円
【低所得者Ⅰ】
被保険者とその扶養家族全ての方の収入から必要経費・控除額を除いた後の所得がない場合
外来(個人ごと):8,000円
外来・入院(世帯ごと):15,000円
利用する上での注意事項
高額医療費制度の対象外
高額の医療請求があったからといって、全てが対象となるわけではありません。
下記のような例外もありますので注意が必要です。
・入院中の差額ベッド代
・入院中の食事代の一部
・入院中の生活費や雑費
・先進医療による治療費
・退院後の通院治療に関わる交通費等
対象はその月内、月をまたぐ場合は注意
高額医療費制度は月単位での医療費で算出されます。
1ヶ月という期間の単位ではありません。
よって30日の入院という場合でも月をまたいだ場合は、それぞれの月での計算になります。
30日で10万円かかって高額医療費制度の対象額だったとしても、1ヶ月目4万円、2ヶ月目6万円で月にわけると対象外だったというオチも考えられますので注意してください。
お金が戻ってくるのは3ヶ月以上先
「健康保険高額療養費支給申請書」を提出したら、すぐに払い戻しがされるかというと、そうではありません。
医療機関等から提出される診療報酬明細書(レセプト)の審査があり、診療月から最低でも3ヵ月以上かかります。
払い戻しがされるまでの間の医療費が払えないといった場合には、高額療養費支給見込額の8割相当額を無利子で貸付してくれる「高額医療費貸付制度」があります。
どうしてもという場合には利用してみてください。
また、70歳未満で医療費が高額になることが予想される場合は「限度額適用認定証」を病院の窓口に提出すれば、窓口での負担額が1カ月の自己負担限度額までになります。
「限度額適用認定証」は、加入している健康保険組合や国民健康保険の窓口(市町村)で発行してもらえますので事前に申請しましょう。
70歳以上の方については、高齢受給者証を病院窓口で提示すれば、支払いは自己負担限度額までになります。